◆radikoとTuneInの周波数特性

2019年8月8日木曜日

FMラジオ radiko/ラジコ TuneIn/チューンイン インターネットラジオ 周波数特性

radikoで聴けるFM局とTuneInで聴けるラジオ局の周波数特性
2019/8/16版

1. はじめに

ラジオ局によって周波数特性は異なりますが、本来は広帯域の信号を発生させ、それを再生、測定して伝送周波数の特性を評価するのでしょうが、そのようなことは不可能ですので、当サイトでは実際にかかっている曲から周波数スペクトラム(Frequency spectrum)を測定して大まかに評価します。

MP3とは非可逆の圧縮されたデジタル音声で、ごく簡単に説明すると音響心理学に基づき、除去されてもわからない音を省いて圧縮を行っています。周波数帯域を満たすからといっても良い音とは限りません。圧縮がかかった音は省略された音なので、ビットレートが低いほど人為的、人工的な音質(ナチュラルな音質と逆の意味)になります。

2.測定方法

当サイトでは、最小音量を-60dbと仮定してそれより3db上(電力比2倍)の-57dbの時に上限の周波数を測定します。
-60dbとは電力比1/100万です。アンプの場合は定格出力の1/100万の値ですが、家庭用のステレオアンプの音量としては小さいながらも意外と聞こえる音量です。

web上ではこれよりも小さい音量の時に「音が出ている」と書いてあるものも見受けられますが、圧縮の副作用により波形に荒れが生じることも考慮してこのような値に決めました。なお、技術的なコメントは当サイトの話題の対象外にしたいと存じます。

値はグラフで読むのでなく、デジタルデータで読んでいます。これをラジオ局の一覧表では目安として上限周波数としています。

2.1 radiko-InterFM編


radikoで再生した局は、Interfmです。タイムフリーとライブ放送共に同じ傾向でしたので、タイムフリーのグラフを掲載します。


高域のスペクトラムは-57dbの時に15KHzでスパっと切れています。radikoはFM放送の伝
送周波数の上限15KHzに準じていると言えると思います。
コーデックは、48K/HE-AACです。

2.2 TuneIn編

MIX 106.9 (WUPM)

MIX 106.9は、TOP 40 Mainstreamの局です。

-57db時、20.2KHzまでのスペクトラムが観察できています。


WIXX

WIXXは軽快なDJでTOP 40 Mainstreamを放送するFMラジオ局です。

高域は10KHzまでのスペクトラムしか出ていません。
残念ながらradikoの48K/HE-AACに負けています。


KONG radio (KQNG-FM) (64K/MP3)

KONG radioは、ハワイのFMラジオ局でACフォーマットで放送しています。

この局は、いつもは広域は15KHzまで出ていますが、この時は高域は11KHzまでのスペクトラムが観察できています。

3. 曲によって周波数特性が異なる例


WCFL Chicago  は、Classic Hits formatの局で、色々な年代の曲がかかるので、曲によって高域の出力特性が異なり、周波数特性の測定時に曲を選ばなくてはなりません。

以下は、曲によって聴感上の音の良し悪しと、測定した周波数特性です。

【凡例】
アーティスト - 曲名
Billboard Hot 100の最高位と日付
[-57db時の最大周波数/-60db時の最大周波数]
コメント

The Beach Boys - Kokomo
Peaked at #1 on 11.5.1988
[-57db:15.5KHz/-60db:15.9KHz]
年代も新しく、概ね15.5KHz以上のスペクトラムが観察できています。


The Moody Blues - I'm Just a Singer
Peaked at #12 on 3.17.1973
[12.0KHz/13.0KHz]
The Moody Bluesの曲は、どれもこもった感じの曲が多いのです。音が古臭いなあと感じます。概ね12-13KHzのスペクトラムが観察できています。


Wings - Listen to What the Man Said
Peaked at #1 on 7.19.1975
[10.5KHz/11.8KHz]
Wingsのこの曲は、メリハリが効いていてThe Moody Bluesより良い音に感じますが、意外と高域は出ていません。概ね11KHzまでのスペクトラムでしょうか。狭い帯域で良い音に感じさせるのはまさにエンジニアの腕と言えるでしょう。


Classic HitsやOldiesの曲はデジタルリマスターされていても元の音源の帯域が狭い場合が多いので、測定に用いる曲を選ぶ必要があり、測定はジングルやCMなどで代用することもあります。